無痛、読了
5/29(日曜) 晴れ(28.4度)

小説を買ったのが新春。
一月の病院での定期診察の待ち時間で読み始めた旨が書かれていたので、全編読み終わるのに四ヶ月もかかったことになる。
同じように映像作品を見て原作が読みたくなった「脳男」は買ってすぐに読了したというのに。

仕事が忙しいとか、読む暇が無いというのは理由にならず、ようは先が気になるから、何をさておき読んでしまおうというのが「脳男」とその続刊「脳男2」にはあった。

しかし「無痛」は滑り出しは好調だったものの、どうにもページが先にめくれない状態が続き、しばらくほったらかしていて、ようやく続きを読み始め、このまま読まないと最後までいけないと思い立ち、後半は一気に読んだと。

一気に読破出来なかった理由は簡単だ。

登場キャラのひとり、佐田というストーカーがいるのだが、その人物描写に割くページがやたら長い。
元嫁に対して送った屈折したラブレターを何も全編載せる必要があったのだろうか。
心の声も他のキャラに比べてとにかく長い。
そしてなによりイライラするキャラ設定。

そんなヤツなので、まあうまくいかず殺されてしまうのだけど、ここもそれまでの所行に比べてやけにあっさりとしているため、読んでいるこっちはちっともスッキリしない。

そもそもあらすじにも書かれている一家四人皆殺し犯と告白したなぞの少女、南サトミもなぜか途中退場。

三人目の主人公かと思った刑事の早瀬に到っては、前半に出て刑法第39条に対して一席ぶつだけで、やはり後半まで登場しない。
これは白神クリニックの白神にしてもそうだ。

ようするに作者が感じていることをそれぞれのキャラに蕩々と語らせたら、実質そのキャラの役目は終わり。

たいそうなテーマで斬り込んでいる割には、現役医師ということもあってか医学の専門知識的なディテールが書き連ねられていて一見高尚に見えるが、実際は狂言回しのようなキャラクターたちが立ち回っているだけ。

文庫本でも非常に厚いのだが、第一章の通り魔のくだりの執拗な殺戮表現、佐田の自分語りを最小限にと止めれば、もっとすらすらと読みやすくなったに違いない。
そもそもキャラクターが複数同時に動いているはずなのに、表に立ってないキャラがまるで見えてこないため、何ともチープな印象だった。

フジテレビのドラマ版は、やはり佐田のストーカーのくだりが長く、なんであんなに執拗に描くのだろうと訝しんでいたが、そこは原作準拠だったようで。
いや、でもバチスタシリーズのように換骨奪胎して、新しいストーリーにすることで原作を知っていてもドラマもワクワクする作りをフジのドラマは得意としているようなので、そこはアレンジしてほしかった。

特にサトミがなぜしゃべれないのか?の設定はドラマ版のアレンジが秀逸だったし、白神に関しても執拗に為頼をスカウトしようとする強い理想があるように見えたし(犯行の動機がチープで矮小なのはこれも原作通りだった…)、最後が駆け足になってアラが見えるのも含めてもドラマ版の方が断然よかった。

続刊もあるそうだが、キャラクター設定に魅力はあっても、キャラクター自体に魅力が乏しい(作者の狂言回しにすぎないのがどうにもならず。

同じようなテーマを奇しくも脳男2で扱っていたが、やはり乱歩賞作家のぐいぐい引っ張っていく話の構成、そして魅力的でイメージしやすいキャラ作りは完全に向こうに軍配が上がる。

だいたい小説家(本業は医者)なのに「憮然」を間違って使っている時点で興ざめですよ、まったく。
【2016/05/29 16:56 】 | 本関係 | コメント(0) | トラックバック(0) |
悪の教典
8/29(月) 晴れ(30度くらい)

朝一の東京医大での定期検診がことのほかスムースに終わり(と言うより院内にいたのは15分くらい?)、もともと夕方業務まで時間があったため、図書館に予約入れて一年ほど待たされた「悪の教典(上)」を読み始めることに。
上下間あわせて広辞苑くらいの厚さか。一冊あたり400ページという物量。でも紙が軽いのかさほど重さは感じず。もっとも僕の鞄では上下巻をまとめて持ち歩くことはできないので、とりあえず上巻だけ。
だいたい四時間くらいで読破。
早いところ続きが読みたいが、手元にないから仕方がない。
業務を終えて帰宅し、夕食前に一時間、夕食後に三時間(途中入浴アリ)で読了。
日付は完全に超えてしまったけど、その日のうちに800ページ読み終えるだけの勢いが本作にはある。
…いや、どうやってこの落とし前をつけるのか?それだけが気がかりでページをめくっていたというのが真相。
よせばいいのに、上巻を読んでいる途中にネットで公式ページにアクセス。
まだ出てきていないセリフが書かれていて、まずしょんぼり。
そして主人公のツイッターがあって、うっかりクリック。
たった一つの単語で壮絶なネタバレ。
ということで、主人公が最後どうなるのかはもうわかってしまった。
あとはそこへたどる道筋をいかに楽しませてくれるかという、いびつな読書となる。

読んでおきたい本だのミステリー大賞だのを取っていて期待値が大きかったが、一年前の王様のブランチで耳にしたいったいなにが気になったのかは、もはや覚えていない。
それは読み始めてもいっこうに甦ってこなくて、いったい僕はなにに興味をひかれたのだろうと。

先生が学校で学生を次々に殺していくタイプは、きっと世の中相当数あると思う。
その中で僕が読んだことのあるもので大好きなのが「そして粛清の扉を」。
どれくらいかというと、新刊で買ったものを人に貸して借りパクされて、申し訳なさ一杯でBOOKOFFで買い戻したくらい。貸したものは帯付きでキレイだったのに、帯なしのくたびれた古本になってしまったが、どうしても手元に置いておきたかった。
ゆえにどうしてもそれと比べてしまう。

まず長い。
一冊で充分にまとまる内容というのが、一番の感想。
起きている時間の半分以上を費やして読むものとしては、読後の達成感が乏しく、ただ「疲れたなあ」なのはいかんともしがたい。

そして「動物的勘が無敵すぎる」点。
危機回避能力とでもいうのだろうけど、「なんだか知らないけど勘の鋭いコ」というのは、もうちょっとなんとかならなかったのだろうか。
おんなの勘と言われても僕は男ゆえ皆目見当がつかないし、直感も何度も何度もあたってくると、それは単なる未来予知能力で、いわば超能力ではないのか。
言いしれぬ不安感を感じるとたいがいその通りになるのも、ホラーとしてはいささか通り一辺倒な気がしてならない。
映画などでいわゆる死にキャラ(13日の金曜日とかでところかまわずセックスするような方々)も、「やばい!」と感じてそれが杞憂に終わってホッとした瞬間に別角度からザックリとか、ようはホラー映画王道の怖がらせ方ってやつ。

なにより、IQが高い、頭がいいというのが、いまひとつわかりづらい。
これは僕の読解力によるところが大きいとは思うけど、とりあえず僕主観では単体で「頭がいい」という事象を相手に伝えるのはかなり難しいと思っている。
人とは違った見方ができることでそれを描くことは容易になるけど、それには対比となる人物が必要。
単にIQの数値でいわれても「ふーん。で、それはすごいことなの?」と思ってしまう。
本作の主人公は頭がいい上、相手との感情の共有ができないという大きな欠陥を持っているのだけど、表向きは感情豊かなので、こいつのいったいどこが欠落しているの?がわかりづらい。
むしろホラー系の大量殺人鬼によくいる「悪いことをしている自覚がない」方がわかりやすいのだけど、それでは「頭のいいサイコパス」にはならないので、そのような設定になったのだろうけど。

アリや蜂など群で生きる昆虫には個がないと言われている。
群れ社会でも個を持つ人間ほか内骨格の生き物とは決定的に違う怖さがある。
きっと昆虫型異星人が来たら、まったく分かり合えない自信があるし。ある意味、爬虫類型とかの方がまだ話し合いを重ねればどこかで折り合いがつきそうだけど…。

ようは「なんだかわからない怖さ」というのは、「話はできているのに通じていない」ことだと僕は認識していて、本作でも途中そういう描写があり、けっこうゾクゾクした。でもそれが骨子のはずなのに、後半の大虐殺では単なる一方試合になってしまい、あまり意味をなさなくなる。もっとも最後の最後は元に戻るので、やっぱり薄ら寒い気味の悪さは存分に味わえるけど。

映像ならともかく、文章で40人からの人間を同一武器で殺して行くには、相当に工夫しない限り飽きが来るのは必定。だって引き金絞る、轟音、死ぬ。着弾ポイントが多少変わるだけ。頭か胸かその程度。
バトルロワイアルは中学生が手の大きな米兵向きのガバメントを走りながら撃って、しかも当ててしまうリアリティのかけらもない描写がどうしても僕は好きになれなかったが、当初は与えられた武器で殺し合う醍醐味があった。中盤から結局銃を持っているヤツが優位すぎて、いつものパターンに落ち着いてしまうけど。
それが今作では主人公は猟銃装備、相手は丸腰の高校生。せいぜい部活のエース程度。これじゃ一方試合になるのも致し方なし。長々と上巻で語った先生への信頼感からの絶望も、最初の数名で同じ展開になってしまうし。
そう、殺戮開始当初に目玉キャラを出し過ぎ!
おそらくこれは意図したことで「コイツなら何とかしてくれる」タイプを早々に幕引きさせることで、一体誰が生き残るのか、それとも全滅なのかと再起の展開を読ませない工夫なのだろうけど、体育教師との一騎打ちがもっとも燃える部分なのに、前座扱いはもったいなさ過ぎる。
あの「外道」というセリフは、読者の気持ちを反映させているすごく気持ちのいいところなのになあ。

なにより意味深に登場し、途中まで要所要所で顔を見せておきながら、最後は出しようがないからと「今まではなんだったの?」という印象の表紙にもなったカラス。あれはないよ。

おそらく読者のほとんどが感じているであろう養護の先生がなんの傷なしで途中退場というのも、引っかかる部分だと思う。出しようがないというカラスと同じ扱いなのもわかるけど、絡むだけ絡んで「実は風景キャラと同じでした」的なのはどうなの。
もっともこれは容易に想像できる部分で、作者的には稀代の和製レクター博士の続編で、今回意味深な位置づけながら難を逃れた連中を登場させる計算なのだろうけど。

なにより僕が嫌な感じだったのが、殺される高校生たちにとりたてて落ち度がないこと。
通り魔にあってしまった、そこにいただけで巻き込まれてしまったという。
これは僕の好きな「そして粛清の扉を」は、やられる側が札付きどもで「コイツは死んでもしかたなし、やむなし」と思える以上に「主人公、よくやった!」と殺す側に感情移入できていたせい。
「悪の教典」では主人公に感情移入することはなく、あくまで読者は傍観者であり、事件の目撃者であるからこれはしかたないのだけど。
なにぶん登場人物が多いので、ほとんどがその他大勢で死んだところでボディカウントが増えるだけ要員ばかりで、抵抗勢力も詰まるところただの高校生。勝てる見込みなど微塵もない。頭脳戦で生徒の方が一枚上手で主人公を窮地に陥れるにも、なんせ頭がいいのでそれも無理。一矢報いる場面は確かにあるけど、でもそれは消える前にパッと明るくなるろうそくの炎と同じ。ようは見せ場の一つにすぎず、本人たちのバックグラウンドもほとんど描かれていないから、これまた感情移入しづらい。

なにしろ生徒側の主役は三人ほどいるのだけど、正直あまり魅力を感じなかった。高校生ってこんなものだっけ?

とはいえ、読み終わった後、猛烈に誰かに感想をぶつけたい衝動があるということは、少なからず読んで損は無しだったのだと思う。
ただしこの作家の別作品を読みたいかというと、残念ながらそれはない…。
一冊にまとまる分量にそぎ落としてくれれば、もう少し感想も変わったと思うけど。

文句ばかりだとアレなので、最後によかった点。
・淡々と日用品で罠を組み立てている主人公。ここで「こいつなんかヘンじゃないか?」と思える重要なポイント。
・あっさり退場する、本当は活躍しそうだったXX(ネタバレになるので名前は伏せる)。韓国映画のように誰が死ぬのかわからない不気味さがあった。頭脳戦を期待してただけに、猛烈な肩すかしだったけど。
・「外道」のセリフ。
・ラストの常人には理解できない主人公の感激セリフ。あれは薄ら寒かった。

口直しに「そして粛清の扉を」を久しぶりに読みたくなった。

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【2011/08/30 11:17 】 | 本関係 | コメント(0) | トラックバック(0) |
往復書簡 湊かなえ
夜の予定は無くなってしまったので、気分を変えて読書タイム。
目を休めるべきだろうけど、湊かなえ「往復書簡」を。
「告白」のインパクトが絶大で寄せる期待に応えるべく技巧に走っていた感があったが(傾向が違っていた二作目「少女」はわりと好きだがそれ以降はどうにも今ひとつ)、なんだか今回のは吹っ切れたというか居直ったというか、とにかく久しぶりにわくわくしてページをめくった。

短編三本で、アプローチは「告白」と同様のスタイル。
残念ながら超主観でしかこの作者は書けないだろう。
それは別にあり体の三人称を誰ものぞんではいないから。

現にスタイルを変えた「少女」はイマイチ評判が思わしくない。たしかに「告白」を期待するから、その裏切られた感は大きいだろうけど、読み物として読めばけして駄作じゃないんだけどね。

それにしても妙に生々しくいらつく女性像がいつもこの作者の作劇に登場するのだけど、これって本人のメタファーじゃなかろうか?と思ったり(たぶん違う)。
たぶんもっとも得意なキャラがこの「不愉快にさせること天下一品な女性」なのだろう。
作者自身が女性ゆえ、男性では誇張しすぎてうまく描けない生臭さを上手に処理しているに違いない。
今回もそれが出てくるのだけど、結末が意外なほどホッとするのでいい感じ。
ここのところその「不愉快な女性」が劇中立ち回るおかげで感情移入が全くできず、読後なんともいえずやりきれなかっただけに、今回の話のもって行き方は好き。

そして案の定、amazonの評価欄では「告白」と比べられてる。
何かと比べた方がたしかに批評しやすいとはいえ、永遠に一作目がリトマス試験紙にされるのは、いささか不憫でならない。

手紙ならではの相互一方通行でありながら、メールと違い一度文章を租借してから送る特性が存分に活かしているのはさすがですわ。見え隠れする感情的な部分を押し殺している感が出ているのもすばらしい。おそらくリアルタイムで反応して送り返せる電子メールスタイルでは、この細かい心模様は出せない。このチョイス、すばらしいわ。

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【2011/04/22 23:27 】 | 本関係 | コメント(1) | トラックバック(1) |
アーカム・アサイラム
10/26(火) 曇り一時雨(午後から一気に冷え込み13度)

もろもろのポイントでGETした図書カード二千円分で、ほしかった「バットマン アーカム・アサイラム」を不足分760円を足してで入手。
二十年前の作品で、アメコミ界のエポックメイキング的存在ということは耳にしていたが(同時期には同じくバットマンの「ダークナイト・リターン」がある)、実際に表紙以外は見たことがなかった。
必要以上に豪華な装丁で、これを削ればもう少し単価は抑えられるだろうにと思いつつ、絶対的に市場が狭い翻訳アメコミじゃしかたない。
帯には借りパクされて無くしてしまったもっとも好きなアメコミ「キングダム・カム」が今月末に復刊との記述が!
アメコミは出てすぐに買わないと、購入者の少なさゆえ速攻で絶版になってしまうため、見つけたら即買いが鉄則。「シンシティ」の第一巻で痛い目を見ているので、気をつけねば。

で、アーカム・アサイラムなのだが。
超絶の一言に尽きる。
コマがすでに絵画の領域のタッチ。
今でこそデジタルツールで似たタッチは容易に出せそうだが、二十年前当然のごとくアナログ手法。
ザラザラとした筆運びと、時折見せるハイコントラストで白く飛んだコマ。
内容もむろんのこと、とにかく先が見たいと興奮してページをめくったのはどれくらいぶりだろう。
アメコミはいつもそうだ。
刺激が強すぎる。
コマの外には別の絵がレリーフ的に描かれているとか、一枚書くのに一体どれだけの時間を費やしているのだろう。
見せ方もひたすら映画的で、例えばカメラが回り込んで寄るなんてのを、その絵画調で見せてくれる。
「キングダム・カム」は読み進めていくうちに、あまりに写実的な人物描写(タッチがまさしく写真のよう)に「動かないはずのコマが動いて見える」錯覚に陥ってとにかく衝撃的だったのだが、「アーカム・アサイラム」はどんなに映画的カメラワークを見せても一枚の絵に見えるから不思議だ。
もちろんそれは悪いことではなく、たとえて言うなら美術館で連作を見て、そこにドラマを感じるようなもの。
とにかく「絵」なのだ。
それも尋常じゃない迫力の。

翻訳されていなかったため、初めて知った当時は購入をためらわれたが、こんなことなら買っておけばよかったと後悔。もっと早く知っていたら、また表現世界の見識が広まっていたのに。
結局、原書で持っているのはアレックス・ロスの「キングダム・カム」と「マーブルズ」。そしてフランク・キラーの「ダークナイト・リターン」だけだし。

表現者としては「アーカム・アサイラム」は是非とも一読すべき。
【2010/10/27 00:41 】 | 本関係 | コメント(0) | トラックバック(0) |
夜行観覧車
7/5(月) 曇り一時雨(蒸し暑さ際だつ)

湊かなえの最新作。
なんだかんだで読んでしまっているのは「告白」の衝撃がそれほど大きかったから。
とはいえ、今回も図書館利用、気に入ったら買うスタイル。
今まで買ったのは「告白」のみ。「少女」もいずれは買いたいと考えているけど、古本でもいいか。

ふたつの家族を題材にした小説で、あいかわらず自分本位で不愉快な登場人物ばかり。
実に読み手を不愉快にさせてくれる「すべては人のせい」「わたしはかわいそうな人」「なんでこうなった」なキャラメイクに、今回珍しく父親の描写もあり。ただし「事なかれ」を極めていて、作劇に絡んでこない。
この作者、女性ゆえかいささかおかしな方向にゆがんでしまったけど自分では気付いていない「かわいそうな」お母さんと、とにかく自己チューな年頃の女の子を出すのが好きらしい。
一方では年頃の男の子は出ても、父親像がいつもぼかしてある。
「父親なんていなくても物語は進行するのよ」と言わんばかり。
まぁ、無理に苦手な領域のキャラを出して、破綻するよりはマシだとは思うけど。

今回は三人称の体裁を整えてはいるものの、どうみても1.5人称な感じで、「今、これは誰の視点だ? それとも客観的な第三者視点、神視点か?」と混同してしまう。それが冒頭からなので、いきなり読み返すことになってしまった。
鮮烈な一人称デビュー作の作家に、三人称視点はまだまだハードルが高いのかもしれない。

内容は正直、あまり印象に残らなかった。
とにかく不愉快なかんしゃく持ちの娘、それに対して対峙しない母、傍観者というより事なかれですべて流してしまう父親。
自分本位同士がぶつかり合い、そこからうねりが生まれるわけでもなく、なんとなく不愉快でことが進んで、ちょっとしたアクシデントがあって、それでおしまい。

うーん。

デビュー作から回を重ねるごとに、何も残らなくなっていく…。
時間をかけて、小説家の代名詞「題材のための取材」で時間をかけて、新作を書いてほしいと思う。
作品から「焦り」を感じてしまうのは、勘ぐりすぎだろうか。

<今日の判定> ▽

テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

【2010/07/05 23:33 】 | 本関係 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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