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新宿インシデント
5/8(金) 曇り時々雨(朝、春雷アリ)

気になっていたジャッキー・チェンの新作「新宿インシデント」を観て帰ることに。上映時間ギリギリ滑り込みセーフと言いたいところだが、予告は終わり本編も始まっていた。

劇場のドアを開けてまず目に飛び込んできたのが、中国人の不法入国シーン。
座礁したタンカーをバックに浜辺で走っている。
ジャッキーが疲れた中国人オヤジにしか見えない。
なんか圧倒される存在感。
タイトルは漢字で「新宿事件」。インシデントは事件なのか。

ジャッキーの新境地開拓と言われているが、たしかにコメディなし、カンフーなし、ダーティーアリ。
ジャッキー・チェンである必然性はあるのか?と言われると、いやトニー・レオンやアンディ・ラウでもいいようにも思える。しかし生きるためしかたなしに悪に染まっていくジャッキーの姿こそが、不法入国者の真の姿をうまく表現していると、自分は感じた。誰しもがやりたくてやっているわけではなく、ただ一度染まると抜けられない底なし沼。普段、コメディが多いジャッキーゆえに、この「しかたなし」感がほとばしっている。

物語は重く、とにかく厳しい。
仲間や信頼が、年月とともに薄らいでいくのが何とも切ない。
時間経過が今ひとつわかりづらいため、急展開のように見えてしまったのが残念。
もうあと30分、いや15分でも、ワンカットのインサートショットでもいいからあったら、もっとよかったのに。
最後まで変わらず支え続けてくれたリリー(ファン・ビンビン)はとにかくキレイだったなあ。
逆に芝居ががかりすぎてて鼻についてしまった竹中直人がちょっと残念。
ジャッキーは見事でした。
セリフはあまりなく、常に困った顔、疲れた顔をしているのでやけに老けて見えたけど、それがまた味になっていた。それほどカリスマ性がないのに、自暴自棄で場当たり的にリーダーになってしまった悲劇の主人公にピッタリ。

それにしてもラストカットが印象的。おまえらがいなくなっても、変わりはいくらでも来るんだを思わせるショットに、突き放したこの物語の本質を感じた。

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【2009/05/08 22:54 】 | 映画鑑賞記 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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