告白 湊かなえ
12/14(月)

小説のキャラクターを心底ぶちのめしてやりたいと感じたのは、ひょっとするとはじめてかもしれない。
なにこまっしゃくれたこと言ってやがるんだ、このクソガキが!と。
それくらいの衝撃度。
そして最終ページの一文の痛快さ。
学生時代、友人の薦めで「アルジャーノンに花束を」を読んだのだが、そのとき「ぜったい最後の一行はどんなに気になっても先に読んではダメ!」と釘を刺されたが、この「告白」も同様だ。
最初から丁寧に読み進め、悲喜こもごもない交ぜになって奔流と化した頭の中で「いったい、これをどうするんだ」とページをめくるのももどかしく、最終章が見事なまでに溜飲を下げてくれる。
痛快という言葉では、最終章の序盤に出てくる「馬鹿ですか?」が最高。
よくぞ言った!と、読みながらガッツポーズを取ってしまった。

けして愉快な話ではない。
むしろ悲劇であるし、重く深いテーマである。
全六章に渡り、すべてが一人称で語られているのも面白い手法だけど、それがテクニックにおぼれた風でなく、すんなりと入ってくるから不思議だ。
それぞれの語り部は文字通り「好き勝手」に書いているのだけど、これがそのキャラクター性を際だたせて、容姿の描写はまったくないのに想像力をガンガン刺激してくれる。

後書きもなく、作者の要約には第一章が賞を取ったと書いてある程度。
たしかにこの一本のインパクトが強烈で、つづく二章三章はどうなるのかと思いきや、なるほど…と膝を打つ展開。
短編が六本とも言えるが、それが絡み合いザッピングドラマのよう。

しかも小説ならではの「気になったら読み返す」ことをある程度前提にして、よけいな説明を省いているのもすばらしい。
こんなにページを巻き戻したのは、だれの本以来だろうか。

これは映像化できまい。
仮にできたとしても、とんでもなくチープなものに成り下がる可能性大。
映像的アプローチ不要、文字にのみこの作品は成り立っている。
ラジオドラマでもダメ。

母と子。
これが全編に横たわるテーマであり、悲劇の発端でもある。

いやぁ、スゴイ本です。
図書館で借りたものだけど、これは買わなきゃ。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

【2009/12/14 20:56 】 | 本関係 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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