河鍋暁斎記念美術館
12/16(水) 曇り(とにかく寒い)

以前から行ってみたいと思っていた河鍋暁斎の美術館。
http://www.ac.auone-net.jp/~ganka/top_page.htm
西川口といううちから車を飛ばせば環七、中山道を経て三十分少々で着くような場所。
ただなんとなくそのルートを車で通るのに抵抗があった。
長年使っていたPHSも昨日でさよならしたし、ならば彼のルートを使ってもいいだろうという、他人にはわからない事情を打ち払う意味も込めて遅い朝食後、向かう。

来館者は他にはいず、じっくりと鑑賞することができた。
残念ながらカエル含む動物ものは常設展示されておらず、今回は幕末の庶民の暮らしや楽しみがテーマで、その木版画や絵が展示されていた。
誰もいないことをいいことに、とにかく一枚一枚時間をかけてながめる。
躍動感あふれるポーズ。
執拗とも思える動植物のディテール。
デフォルメの効いた人物の表情。
群雄はどの部分を切り取っても息吹を感じる自然さ。

学校で日本画を習っていたという元塾生さんにかなり以前に勧められたのだけど、たしかにこれは完全なストライクゾーン。
狩野派の重厚な表現と浮世絵のカリカチュアされた表現にプラスして、独特の風刺感が「低俗」とされて、長らく国内では評価されていなくて、逆に海外に人気が高く多くの作品が海を渡ってしまったしまったそうだ。
ようは「どっちつかず」と見るか、「バラエティ豊か」と取るか。

ひとつの技法にとどまらずにミックスしたりして一定の法則がわかりずらく、且つ贋作に対しても奔放な性格だったそうで(当時は人気作家だったからまねる人も多かった)、未発見のブツがでると鑑定がひじょうに難しいらしい(とギャラリーの方に教えてもらった)。

しゃれこうべが三味線を弾いている図版は、まさにパンク。
それをあしらったTシャツがあったのだけど、残念。最大サイズでLまでだった。
あれはそうとうにCOOLだ。

とりあえず「別冊太陽 河鍋暁斎」と京都国立博物館の図録と思われる「暁斎Kyosai―近代へ架ける橋」の二冊、そして文庫サイズの「暁斎百鬼画談 (ちくま学芸文庫) 」を購入。特に「暁斎Kyosai」は300ページを越える分厚さなのに2500円という大特価。「別冊太陽」版と微妙にかぶっていない図版も多く、見応えあり。大判二冊に文庫一冊買っても6kである。
暁斎に興味を持ったのならマストバイだ。

展示物にはなかったけど、買ってきた本には百鬼夜行を暁斎がリライトした「百鬼画談」や、独特のディテールを持つ風神雷神、キリスト教風の釈迦如来図(これは必見。こんなお釈迦様のアプローチ方法があったとは!)など見応え充分過ぎる内容で、これまた存分に楽しめた。
そしてその方向性が、けっこう現在に通じる。
モチーフは昔からあるものでも、オリジナルの表現を使う。
一緒くたにされては暁斎も嫌かもしれないが、いわゆるアニメやマンガのキャラの二次創作(特にディテールやシルエットが大きくいじられているもの)と同じにおいを感じた。
もちろん圧倒的な存在感や表現の振り幅など、もう人間の能力は等しく平等などでは決してないと打ちのめされるほど。

ただ驚いたのは、そんな天才絵師もしっかりとした資料(着物の模様やスケッチ)を多数残している点。
緻密な動物画も見せ物小屋で実物を見て描いたと解説があったが、写真など無かった時代ゆえその記憶力と、さらにそこから昇華させる力(単に写実的な写生ではない)は、本当に息を飲む。
例えばクジャク。
写真のような色合いに例の羽根。
そばにいる人間は表情豊かなデフォルメ。
素立はほとんどなく、なにかしらオーバーなポージングがなされていて、まるでその瞬間を切り取ったかのよう。
わずか140年前。こんなにも江戸時代から文明開化の明治は楽しげだったのかと、うらやましく感じさせるその空気感。
戯画の中には元祖サザエさんのような画風もあったので、きっとどこかしらで長谷川町子は影響を受けたに違いない。いや、戦前の画風がそれなので、間接的かもしれないが。明治初期にそれがすでに生まれていたということに驚いた。浮世絵風と混在する様は、まさに文明開化ミックス状態だったのかもしれない。

12月に入ってからというもの、どうにも「楽しいものを楽しいと感じづらい」感度の鈍った状態が続いていて、困り果ててていた。

しかし、やはりこう偉大な先人の空気に触れると、一時でも見事に消し飛ぶ。
愛嬌のある仕草、造形。
暁斎は本当に動物や人間の仕草を描くのが楽しかったに違いない。
一方では超絶技巧もふるうことのできる才人。
強烈な風刺(文明開化にならって不動明王が新聞を読んでいるとか、どんな発想ですか!)で、見るものにも楽しさを与えるエンターテナー。
大好きな画家となりました。
ファンクラブ…もとい「河鍋暁斎記念美術館友の会」に入らない手はない。
つまんないこと、嫌なこと、行き詰まったときには、車飛ばしてながめてこよう。

<今日の判定> ◎
ギャラリーで二本もDVDを拝見させてもらったおかげで、正味に時間近く居座ってしまった。
なんだか居心地が良くって。
帰宅後は買った本をじっくりながめて「すげぇ、すげぇ」とため息ばかり漏らしております。
【2009/12/16 20:16 】 | たわいもない日記 | コメント(0) | トラックバック(0) |
<<仕事モード | ホーム | 告白 湊かなえ>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://maruzoo.blog19.fc2.com/tb.php/1537-4a1dfa04
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |