Nのために 湊かなえ
6/19(土) 雨のち曇り(ひたすら蒸し暑い)

久しぶりに読書。
映画「告白」が絶好調の湊かなえ、つい先日までの最新作。
もっとも今は「夜行観覧車」が出ているけど。
なんだかんだで、この作家の作品を読んでしまう。
今のところはデビュー作「告白」が群を抜いていておもしろく、ついで二作目の「少女」。
「贖罪」と今回読んだ「Nのために」は、それに遠く及ばずといったところ。
あくまで私的な感想で「少女」はダメという意見もよく目にする。

さて「Nのために」の最大の乗り切れなかったポイントは単純にただひとつ。
ミスリードなのだろうが、女性と思いこんでいたキャラが男性だったと読み始めてちょうど半分あたりでつまびらかになること。
立場は社会人。一人称で「ですます」調で応対している。
主人公の一人女子大生と石垣島にダイビングしにいく「ともだち」
名前が「のぞみ(聖と書いてのぞみと読ませる。ちなみに女子大生の名前も希美(のぞみ)」である。
別に容姿の描写をしないことによるミスリードはよくある手法なのだけど、頭の中でイメージしていた像が完全に崩れて再構築するまでに話の展開に乗り切れなくなったのはたしかだ。
正直、読むのを止めようかとも思った。
単なる思いこみとはいえ、男性である女性であるという部分は、さして重要なファクターではないのに、突然章が変わって一人称「俺」が始まり「だである」調に変わると、違和感しか感じない。
女性としてイメージしていた像が壊れきれず「すわ、こいつは性同一性障害か?」としばらく思いこんで読み進めたほど。
そもそもテーマとして横たわるのが「愛」ゆえに、対外的には女性の「ですます」調で、しかし自分を出せる仲間の前なら「だである」調になるのか、とか。
読解力のなさと言われればそれまで。
しかし描写不足で性別が飛び越えるのは、いささか不親切過ぎやしないか。
例えばダイビングするならば水着のくだりがひとつあればいい。
恋人同士でもない二人(住んでいるところが同じアパートという接点はある)が、旅行に行くのか等。

作者が女性ゆえに、そのあたりに「男性との友情」を下敷きにしているのかもしれないが…。

とにかくトリッキーにトリッキーにしなきゃという焦りを文章から感じてしまったのは、けして気のせいだけではあるまい。
デビュー作が大絶賛され、続く二作目で手法を変えたらそっぽを向かれ、三作目でもどしたら「またこのやり方かい」。四作目の今作でも独白スタイルは継承しつつ、時間軸を過去未来に振ることで違ったアプローチを見せてはいるのだが、いかんせん口調が「告白」の時のように明確にキャラわけされておらず、この章は誰がしゃべっているのか?がわかりづらい。
特に時間軸が移動すると、おのおのが大人になっているため口調が同じになり、完全に誰なのかわからなくなる始末。

読後の読み切った感は、さながら授業でむりやりに1500メートル走らされた感じに似ている。
達成感でもなんでもなく、ただ「やっと終わったよ」っていうアレ。
犯人がわかっている状態で最後まで気が抜けない「告白」。
不埒な動機でボランティア活動をしつつ、ちょっとした事件に巻き込まれての友情話の「少女」。
身勝手すぎるいそれぞれの言い分で、誰にも感情移入できなかった「贖罪」。
そして「Nのために」は…。ミステリーというよりもミスリードが目にあまって、作劇は別に…だった。

そんな中、王様のブランチで作者がインタビューに答えていた。
小説を書いている時間は夜10時から翌朝3時(4時だったかもしれない)。
6時半に朝食を食べて(おそらくご主人を送り出すため。この部分は言わないあたり(編集でカットかも)によけいにイヤな感じがする)、午前中は二度寝して昼から活動すると。
さすが主婦だねッ!
ならば夜はキチンと寝て、この午前中の二度寝の時間に作家活動すればいいのに。
人それぞれのスタンスがあるから、別におもしろいものを提供してもらえれば読者は作家がどんなに乱れた生活をしてようとも知ったことじゃないのだけど、なんか「主婦って時間があるから小説を書いてみたら大当たりしちゃった感」が存分に醸し出されていて、なんとなく素直に応援できない。
しゃべるもなんかつたないし(作家だからしょうがないんだけど)。
ストレートにいうと「バカっぽいしゃべり方」なんだわ。
まぁ、時間をかけてイメージ像を造ったのに、一瞬で壊されて気分が最悪だったのも、作家の印象をより悪くさせてはいるのだけど。きっと「告白」を読んだあとなら、何を言ってもすごい!と賞賛していたに違いない。例えば「真夜中に旦那さんに迷惑をかけないように作家活動してるんだ。えらいなあ」とかね。

とか何とか言いつつも、なんだかんだで「夜行観覧車」も読むとは思う。

<今日の判定> ▲
業務は業界おしゃべりで気付けば一時間オーバー。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

【2010/06/19 23:39 】 | 本関係 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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