踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
9/8(土) 晴れ(31度)

前作の「踊る3」が寒いギャグの上滑りに犯人サイドの落とし方にケレン味のない典型的な君塚脚本でガッカリした上、先だって放送されたテレビ版ラストがあんまりなデキだったので、本作は見に行くつもりが無かった。
それでも朝のワイドショーに幾度となく織田裕二が登場し、見せ場があまり感じられないCMをガンガン流されると「しょうがない、見に行くか」という気にさせるから、やはり「踊る」のコンテンツとしての魅力はたいしたものだと思う。
公開二日目の22時開始レイトショー。その前の20時はほぼ満席。普段どんなに話題作をかけても席が埋まることのないユナイテッドシネマとしまえんなのに(埋まるときは小さいハコ)。
22時の回も1200円で見られるということもあるが、八割方埋まっていた。
カップル率が異様に高いため上映前のおしゃべりも多く案じていたが、いざ始まってしまえば場面にあわせたリアクション程度。久しぶりにまともな観客たちだった(ガキが多いと騒ぐし、おばちゃんはしゃべるし、じじいは上映時間中尿意に負けてスクリーンを横切るし)。

OPシーンは「踊る2」のようなテイスト。おいおい、そんなはずはないだろうという場面からだが、ここはリアリティうんぬんより、ボーナス映像として処理できないとそもそも「踊る」シリーズが受け入れられない。正直、僕はそこまで思い入れのある作品ではないので「あぁ、また観客にこびた寒いシーンか」とのっけから入り込み損ねたクチ。
ただタイトルバックのVJ風は実にかっこよく、過去作品から連続して顔写真が切り替わっていくのが素直にかっこよかった。メキシコの楽曲のサンプリングというにはあまりにまんま過ぎることがばれてしまったOPテーマだが、やはりここはこの曲が流れないとあがらないから仕方ない。そもそも最初のテレビ版ではエヴァンゲリオンの戦闘シーンの曲そのまんま使われていたし(なぜか途中からよく似たオリジナル曲に差し替えられた。作曲者が同じかと思ったら全然違うし、曲も異なる。まぁ、西部警察でもスペクトルマンの曲使われていたし、BGMなんてそんなものなんだろう)。

本作がテレビ版ファイナルと大きく異なるのは、湾岸署がキチンと捜査をすることと、モブシーンがごちゃごちゃしすぎていないこと。
映画のスクリーンの方が大きいのになんで逆にしなかったのか疑問だが、広いゆえに同じような撮り方でも画面情報が拡散しただけかもしれないが。

ふたを開けたら、意外なほどにハードな展開。
ギャグシーンも少なく、テレビ版ファイナルでは鬱陶しい存在でしかなかったスリーアミーゴーズもコメディリリーフで出番も少なめ。あれくらいの方がいい。前作3では出過ぎていていやな感じに成り下がっていたし。

そして君塚脚本とは思えないほどのキレイな落としどころ。
途中までは徹底的にイヤに描くが最後のしめがゆるく観客の溜飲が下がらずといったケースが、特に多かったから「あぁ、今回もそうなるんだろうな。この人は何か恨みでもあるんだろうかと思うほどいやなキャラに描く」と半分以上諦めていた。
世の中なんてえてしてそんなものだし、そもそも理不尽だし、権力ある連中が勝ちだし。

でもだからこそドラマというフィクションの中では、それなりに詰め腹切らせてくれないと!
「容疑者室井」で本当にイヤだったのが弁護士を最後殴らなかったこと。あそこで一発ぶちかましてくれれば、リアリティは吹き飛ぶがカタルシス満載でスッキリできたのに。

連作ゆえ、これまでさんざんイヤキャラとして描かれ続けた上層部に対して、溜めに溜めたものをここでこう落としたかと。
コケにし続けてきた警察機構に対してのサブタイトル「新たな希望」かと捉えると、最後にしてうまくまとめたなあと思える。
SWep6のダースベイダーが銀河皇帝とルークの戦いを傍観し、仮面ゆえ表情の葛藤が見えないから初見ではただの凡作にしか感じられなかったが、ダークサイドに落ちるep3までを見てからあらためてそのシーンを見るとアナキンとしての葛藤が見えて傑作に見える。
なんだか今回の「踊るFINAL」はそんな気がしてならなかった。
たぶん最低のデキだった「踊る3」も本作を見た後だと「そういうことか」と思えるシーンがたくさんありそう。特に小栗旬演じるキャラのバックグラウンドが明らかになった今、前作やテレビ版ファイナルの見え方が変わってくる。

というわけで、傑作!とか大満足!と手放しに喜ぶほどではないものの、「よくぞ気持ちよく落としてくれた。ありがとう」がもっともしっくり来る感想か。

今回、やけに画面が暗かったのと、大きな音を不意打ちで驚かせるシーンが数回あったので椅子から飛び上がる人もいるかもしれない。

水野美紀が常に一人でしか映らないのは政治的配慮だろう。いささか残念だ。
最後、なぜ出迎えないのかまるで腑に落ちなかったが、エンドロールで「それなら仕方ない、か…?」と一応決着つけてくれるだけマシ。

そして最大の問題シーンは、ラストまわりのすみれさんのシーン。
なぜ半透明? 青島の幻かと思った。
まさかと思うが、危険なシーンなので別撮りで合成しましたでもあるまい。なにか意図する部分があったのだろうが、そこだけはわかりかねた。

逆によかったのは、テレビ版ファイナルのあの屈指の寒いシーン青島の愛についての演説に似た場面が出てくるのだけど、そこの切り方。
あれはよかった。

僕個人の感想では大きくなりすぎてしょうもないギャグシーンと吸血鬼エピソードがまるでいらなかった二作目よりも、青島によるビール隠蔽が大元の話とツイをなしていてしっかりしていたので、本作の方がよい印象。
大なり小なり隠蔽するし、皆なんだかんだ言って保身に走るじゃないかという、いい対比だった。

いかにも本広演出の無駄にくるくる回るカメラは、ハリウッドの大作破壊映画のマイケル・ベイと同じアプローチか。いかにも「ここで決めぜりふいきます!」な見せ方で正直アレだけど、ま、それも含めて「踊る」らしさか。

テーマ:踊る大捜査線 - ジャンル:映画

【2012/09/09 12:42 】 | 映画鑑賞記 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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